■現在のAI(人口知能)について
最近、AI搭載の電気製品や、AIを使った等を、よく目にし、聞かれます。
過去に人工知能ブームは2回あり、1960年代と1980年代で「人工知能はもうすぐできる」の言葉に期待は大きかったですが結果としてブームで終わりました。
今のAI(人工知能)の定義は「ビッグデータを学習して予測などができることを目指したもの」で、それにディープラーニング(機械学習)の技術が使われています。
ディープラーニングとは、人間や動物の脳神経回路をモデルとしたアルゴリズム(計算方法)で、データからパターン・特徴を抽出する学習をディープ(多層構造)で行うことです。
入力データ→計算→出力データを1回として、求めた出力データを入力データとして多層繰り返すことで、より良い結果が得られます。そして大量のデータが有るほど精度が上がります。
実例としてタクシーの需要予測で説明しますと
タクシー待ちの写真や、通信キャリアならスマホの位置情報から人数を、場所、時間毎に天気、気温、近辺のイベントなどの情報と合わせてコンピュータに読み込ませます。
蓄えられた膨大なデータを学習してタクシー待ちが多い場所を予測します。
センサー、画像処理技術、コンピュータ性能の向上、Webの大量なデータなどにより、いろいろな分野で応用され、今回はブームで終わらず浸透していくものと思われます。
■ディープラーニングについて
簡単に言いますと「データの入力、正解の出力を決めて、その間を自動補間する技術」です。
例えば猫の画像(入力)を入れて、これは猫(出力)と教えておくと、その間で勝手にコンピュータが特徴量を見出し、次から正解を出してくれる技術です。
この技術が開発される前は、人間が条件式を記述して、例えば、猫の画像なら「耳がとがっているなら猫」、「ヒゲが長ければ猫」...といったように無数の条件式をコンピュータに教える仕組みでした。人間が入力するので条件式に限界があり、又、正解率も限界がありました。
ボトルネックになっていた部分をコンピュータにさせることで、いろいろ分野で応用できるようになりました。
■ディープラーニングのしくみについて
ディープラーニングとは人の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」の層を「ディープ(深く)」重ねた機械学習法。
脳に多くある神経細胞ニューロンは、他のニューロンからの電気的刺激を受けて、刺激の合計がある一定値を超えると自分も興奮して電気的刺激を他のニューロンに伝えるふるまいをします。
その仕組みを人工的に作成したものをニューラルネットワークといいます。
人工ニューロン同士を接続する経路はリンクと呼ばれ、リンクにはそれぞれ重み(数値)が与えられます。
~
ニューラルネットワークを理解する方法は、うわさ話です。
AさんとBさんという友達がいたとします。Aさんはある映画を「面白かった」と言い、Bさんは「イマイチだった」と言いました。それを聞いたCさんがいざ映画を見に行くと、確かにイマイチでした。それで、CさんからAさんへの信頼度(重み)が下がり、次にAさんが「この漫画おもしろいよ」と勧めてきても、CさんはAさんのいうことだから信用できないな、考えます。
ところがBさんも「この漫画、そこそこおもしろいよ」とAさんの勧めてきた漫画と同じ漫画を勧めてきました。CさんはBさんもAさんも面白いというなら、もしかして、と思ってその漫画を読んだところ、大変な傑作で驚いて、他の人にもこの漫画を勧めたくなりました。
Aさん、Bさん、Cさんはそれぞれニューロンです。
そして、CさんはAさんからのリンク、Bさんからのリンクそれぞれについて、”重み”を持っています。Aさんからの情報は話半分くらい、Bさんからの情報はふつうに信用できると判断しています。
~
「よくわかる人工知能」清水 亮 著より引用
CさんのAさんからのリンク、Bさんからのリンクの重み”を、出力結果と正解との差(ロス)を求め、重み付けを段階的に減らしていき出力結果がましになるように学習させます。